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フィリピンの歩行者トンネル発、ユニークなファッションビジネス [ファッションビジネス]

【7月27日】フィリピン・マニラ市内の歩行者用トンネル内で、長年にわたりユニークなファッションビジネスが繰り広げられている。

■こだわり靴のアトリエ

 レクト通りにある歩行者用トンネル内の暗く熱気のこもったアトリエで、靴職人のユリウス・ウィルフレド・グレゴリオ(Julius Wilfredo Gregorio、37)は汗を流しながらレザーブーツにラバーソールを縫い付けていた。彼はフィリピンの“アンダーグラウンド・ファッション”で重要なキーマ ンのひとりなのだ。

 ユリウスは父のレザーショップを1991年に受け継いだ。現在では、彼の靴を手にするために海外や地元から顧客たちが絶え間なく訪れる。 「たとえ裕福な映画スターでなくても、最高級のブーツを手に入れ、オシャレをすることは可能です」とユリウス。部屋の隅に置いた扇風機の風に吹かれ、また汗が滴り落ちる。

 壁には、地元のアクション俳優が彼の靴を履いている写真が貼られている。それを指しながら、「私は、身に着けた人が『まるで特別な存在になったように感じられる靴』を作ることができます。靴を履いて、少しだけそれらしい立ち振る舞いを加えていただければ十分なのです」とユリウスは語る。日に日に増える顧客からのオーダー表に埋もれないよう、1日5足の靴を作ることを目指している。

■何でも揃うトンネル・ショップ

 過去数十年間にわたり、ユリウスのような職人やデザイナーたちは、歩行者用トンネル内の小さな売店やアトリエでビジネスを続けてきた。トンネル内では、ジーンズやブーツ、レザーウェア、アクセサリー、ブレスレット、学校や会社の制服、スポーツウェアなど、ありとあらゆる商品が販売されている。価格設定も親切で、デニムは6ドルから9ドル(約500円~700円)。中には90ドル以上(約7000円以上)もする牛革のブーツもある。

 人気の海外ブランドに似せたデザインが通年のトップセラーだが、デザイナーや職人の個性が感じられるアイテムを求めて足を運ぶ人も少なくない。 ほとんどの店は、それぞれに最先端のコンセプトを提案している。

■学生たちの支持

 トンネルの近くには、地元の学校が立ち並ぶ。店舗に足を運ぶ熱心なファンの多くは、お金は無いが優れたファッションセンスを持っている大学生たちだ。

 近隣の大学で通信論を学ぶ23歳の学生Pauline Baniguedは「服を買いによくここに来ます」と語る。今日はブラウスを仕立てにやってきた。「ランウェイに出るような素材を使っているわけではありませんが、私の趣味にぴったり合うのです」

■洪水にも負けず

 トンネル内での店舗営業は1970年代にスタートした。当初は違法だったが、電気代とテナント代を支払うという条件で、市に営業が認められた。その後、グローバル化の波や、空調の効いた百貨店に店舗を構える海外ブランド、至るところにできるショッピングモールといった様々なハードルが彼らの前に立ちはだかった。しかし、店はそれを乗り越え生き残ってきた。

 2009年に巨大な台風がマニラを襲い、過去40年で最も酷い洪水に見舞われた際、トンネルは商品ごと完全に水没した。しかし、復活を求める声が大きかったため、すぐに店舗の営業は再開された。

■良い服を届けたい

 ベテランの仕立て屋ルベン・ロサル(Ruben Rosal、59)は、当初ジーンズだけを作っていた。しかし顧客の要望に応えるため、業務内容は多角化してきた。お客さんから、ブラウスやスカート、時には学校や会社の制服を作ってほしいと依頼されます」とロサル。ロサルの家族は現在4つの店舗を展開し、その稼ぎで5人の子どもを育てた。現在 子どもは全員が大学を卒業している。

 仕立て屋になる前は田舎で農業と漁業に従事していたというロサルは、「これまで、ありとあらゆる人々に服を作ってきました。彼らが店に再び戻ってきてくれるということは『満足してくれた』ということです。なので、とても嬉しく思います。私は常に、良質の服をみんなに届けたいと思ってきました。お金をもっている人以外にも、良い服を届けたいのです」と語る。

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